〜2006年冬季オリンピック開催地・トリノを舞台にしたテレビドラマを紹介〜
テレビ東京開局25周年記念特別番組 ”ダンシングミステリー” トリノ発:東京物語
 日本では観光地として著名ではないトリノですので、映画やテレビドラマの舞台としてはほとんど登場していませんが、唯一、トリノを舞台として起用したドラマがありました。テレビ東京が開局25周年特別番組として企画し、1989年に放送された”ダンシングミステリー” トリノ発:東京物語(全編約1時間35分)というドラマです。当時16歳の新人女優・高岡早紀さんがヒロインとして出演し、父親役の岩城滉一さんが主演、フランス女優のアレクサンドラ・フーゲさんが共演というキャスト。
 物語の前半は、トリノ市内(モーレ・アントネッリアーナ、ポルタ・スーザ駅、サン・カルロ広場、ポー川、その他多数)やその郊外(アヴィリアーナ湖、古城など)の美しい町・名所が随所に登場します。後半は東京ロケが大半を占めます。また、特技がクラシック・バレエだという高岡さんの長所を生かすように、随所に高岡さんのダンスシーンが登場します。高岡さんは、このドラマが放映される前年に岡田真澄さんと靴メーカー・マドラスのCMでも共演、そこでもダンスシーンが登場していました。この時のCMで使われた曲『悲しみよこんにちは』(高岡早紀、1989年5月10日発売/ビクター、オリコン最高15位)が、このドラマの主題歌として使われています。この『悲しみよこんにちは』は高岡さんの3枚目のシングルで、作曲者の加藤和彦さんの特徴がよく出ており、加藤さん作品の名曲である『あの素晴らしい愛をもう一度』(加藤和彦&北山修)、『白い色は恋人の色』(ベッツィ&クリス)に似た、叙情的で郷愁を誘う、流れるようなメロディーが魅力的な、大変美しい曲です。主題歌のみならず、このドラマは音楽が大変素晴らしく、見事に映像とマッチした曲の組み合わせも大変魅力的です。
 また、自動車産業都市・トリノを生かすべく、主演には自動車マニアとして有名で、俳優業と平行してレーサーとしても活躍する岩城滉一さんを起用。ドラマの中では愛車として「ランボルギーニ・カウンタックLP500」、「ジェネシス」その他、イタリア車マニアが喜びそうな名車が多数登場。実際に岩城さんがトリノ市内や郊外を運転、これら美しい街並みをバックにした自動車走行シーンもこのドラマの見どころです。さらに、後半の東京ロケでは高岡さん自身を含め、ダンスシーンが目白押し。ダンスファンにも楽しめる内容となっています。

(※ このドラマはビデオ化もDVD化もされず、主題歌のCDも廃盤になってしまったので、今回ここで紹介することにしました。)
放送/1989年4月20日 21:03-22:54
製作/テレビ東京、国際放映
監督/高間賢治
脚本/じんのひろあき ・ 神部 翔
音楽プロデュース/相川知治
音楽/桜井鉄次郎、Real Pop Drganizers、
     ジェフリー・ダニエル
企画協力/東急エージェンシー
主題歌/ 『悲しみよこんにちは』(1989年/ビクター)
(マドラス春のキャンペーン・CF曲)
作詞:真名杏樹、作曲・編曲:加藤和彦
キャスト/ 岩城滉一
アレキサンドラ・フーゲ
高岡早紀
山下規介
ポリドリー・パオロ
宇梶剛士
円浄順子
我王銀次
長門裕之
水上功治 ・ 高岡美佳子
樋口由乃 ・ 野沢満恵
高橋ひとみ
古尾谷雅人
ダンシング/ 金光郁子&バレエキャラバン
武井一仁
青地 泉 ・ 後藤玲衣子
橋本拓也 ・ 斉藤美絵
佐々木辰寿 ・ 柳原恵美
原 章人 ・ 金田真保
石坂 勇 ・ 荒川江理子
シンシア
瀬谷登志子
ダンシング指導/ ジェフリー・ダニエル
セルジオ・リカティ
ショウコ・ナカハラ
武井一仁
(金光郁子&バレエキャラバン)
 【物語のあらすじ】
(冒頭は、夕暮れの丘の上に立つサンタ・マリア・デル・モンテ教会。続いてサヴォイア家の墓所であるスペルガ大聖堂の遠望、トリノの象徴・朝のモーレ・アントネッリアーナ遠望、トリノ市内の遠望が続きます)
 15歳の立原サキ(高岡早紀)は、トリノ南隣・モンカリエーリのコスタルンガ高校に通う高校生で、特技はクラシック・バレエ。父親は、トリノ工科大学建築学部教授の立原聡(岩城滉一)。母の翔子は幼い頃に生き別れたとされ、今は父娘でモンカリエーリのコスタルンガにある元・貴族が利用していた家で2人暮らし。東京から引っ越して来て、もう13年になる。平凡ながら、平和な毎日を過ごしている。ある日、サキはポルタ・スーザ駅(トリノ新駅)で聡と待ち合わせ、聡の愛車・赤いカウンタックでモンカリエーリの自宅へ帰る。同じその頃、ポルタ・ヌォーヴァ駅(トリノ中央駅)前を出て、ウンベルト一世橋を渡ってすぐに右折し、同じくモンカリエーリに向かうタクシーの姿があった。カウンタックがそのタクシーを追い抜いて行く・・・。▼
 聡とサキが自宅に着くと間もなく、先ほどのタクシーに乗ってパリ工科大学からの留学生・ミレーユ(アレキサンドラ・フーゲ)がやってくる。聡の大学の研究室の助手としてやって来た。亡き母を想うサキは、少なからず嫉妬心を抱くが、やさしく知的なミレーユに次第に心が打ち解けてゆく。▼
 ミレーユが来てから1ヶ月。聡は毎日ミレーユを愛車「ランボルギーニ・カウンタックLP500」に乗せ、”建築の研究のため”と称してイタリア北部の古城めぐり(ヴィニャーレ城など)。サキはその頃、ボーイフレンドのジョルジョ(ポリドリー・パオロ)とトリノ郊外のアヴィリアーナ湖へサイクリング。満ち足りた日々を送っている。▼
 聡は、カウンタックの次に新車「ジェネシス」を購入。さっそくサキとミレーユを連れて「カロッツェリア」へ(実際に岩城さんが運転するシーンが続く。このドラマの自動車走行シーンは、すべて岩城さんが自分で運転しています)。ここからがイタリア車マニアお待ちかねの名車の紹介タイム。ラマロ、ランチャー・ストラトス、そしてジェネシス。次に、マンドゥリア王宮跡へ。古城をバックに写真を撮るサキの目に、やがて必要以上に親しくなる聡とミレーユに、「研究だというけれど、本当はどうかしら?」と思い始める。▼
 サキの16歳の誕生日。聡とミレーユと共にショッピングをした後、サン・カルロ広場横のアーケードでジョルジョと待ち合わせ。ジョルジョからイヤリングをプレゼントされるが、なぜか喜べないサキ。▼
(サキが手を振る場所がサン・カルロ広場。初代統一イタリア国王、エマヌエーレ・フィリベルトの騎馬像があります)
 先にミレーユと帰宅した聡は、サキの帰りが遅いことを心配する。そこで、ミレーユが箱に入った片方だけのイヤリングとブローチを見つける。それは、サキの母・翔子の形見だった。なぜ片方だけ?とミレーユは不思議がるが、これがこの物語のキーワードとなっていく。大学の立原研究室では、聡とミレーユの熱心な議論も。(大学校舎はポー川畔のヴァレンティーノ城で、実際にトリノ大学建築学部の校舎として使われています。)▼
 ある日、トリノ市内のトラムに乗ってるサキに、自転車に乗ってるジョルジョが追いつく。2人はトリノの街角へ。そこで見かけた、フラメンコを踊る路上ダンサーから落ちてきたイヤリングを見たサキは、幼い頃の微かな母の面影を思い出す。▼
 とっさに帰宅したサキは、オルゴールの中のイヤリングを触る。聡はミレーユと親しくなる一方。それも理由で、サキは幼い頃に別れた母への想いがますます募って行く・・・。▼
 そんなある日、16歳の誕生日を迎えたサキの元に、東京から一通のエアメールが。差出人は「母」。中身は、16歳の誕生日を祝うメッセージと共に東京行の航空チケットが1枚。聡からは亡くなっていたと聞かされていた母からの突然の手紙に驚くサキは、ジョルジョに電話で伝えた後、1人ひっそりと父には内緒で家を出て、自転車でトリノ・カゼッレ国際空港へ。ジョルジョからその事を聞かされた聡とミレーユは急いで空港へ向かうが、サキはすでに東京へと旅立っていた・・・。▼
 東京では、聡の急な電話での依頼で、聡の妹でサキの叔母にあたる桂(高橋ひとみ)が空港まで迎えに来ていた。そこへ、チケットの本当の送り主であった海老沢(古尾谷雅人)が。わずかの差で克子に先を越され、サキを迎えられなかった焦りがつのる・・・。サキは桂の家にしばらく居候することになる。▼
 桂は、母は亡くなったとサキに説明するが、納得いかないサキ。桂は国際電話で事情を聡に連絡するが、そろそろ本当の事をサキに話した方がいいと聡を説得する。実際には、13年前に離婚したのを、サキには翔子は亡くなった、と言いつづけていたからであるが、ミレーユに告白された聡は、ミレーユには本当の事を話してしまう。▼
 サキは自転車を組み立て、母を捜して都内のダンス・スクールを一つ一つ丹念に訪ね回る。しかし母はなかなか見つからない。ある日の夜、サキは街で車のタコ焼きの屋台を見つけた。生まれて初めてタコ焼きを見るサキは、珍しそうにタコ焼きを見つめる。▼
 その頃、サキが帰宅しないので心配になる桂。店主のアキラ(山下規介)は、サキがトリノから来たと聞いて驚く。そこへ、アキラの友人でトランペッターのユウジ(宇梶剛士)が現れ、路上演奏を行う。音楽を聴くと自然に身体が動くサキは、即席でダンスを披露。関心するアキラ。やがてアキラは店を閉めて帰るが、なぜかサキが自転車で後を着いてくる。桂に心配掛けたので、帰りづらくなったサキは、プロダンサーを目指す恋人のジュン(円浄順子)と同棲するアキラの家で居候することに。▼
 その頃、心配になった聡は、ミレーユをトリノ・カゼッレ空港に残し、サキを迎えに東京へ飛び立つ・・・。東京で桂に迎えられた聡は、自動車修理工場を営む馴染み(長門裕之)の元へ。そこで「足」として借りた車は、聡がトリノへ向かう前に東京に残してきた元・聡の愛車だった。エンジンをかけようとするそのキーには、翔子のもう片方のイヤリングが・・・。聡は、渋谷のガードを抜け、翔子が開いてるという世田谷の『翔子 メモリアルスタジオ』へ向かう。
 そのスタジオで出迎えたのは、なんと海老沢だった。そこで聡は、翔子は亡くなり、そのファンの有志でこのスタジオが運営されて続けている事、翔子の遺言で、サキが16歳になったら合いたい、という話を聞かされる。サキに航空チケットを送ったのはそのためだった。聡は桂と合い、事情を説明する▼
 DJをしている桂の元へ、サキを見つけたという情報が。オーディションに合格し、プロへ歩み始めたジュンのレッスン現場にいたサキを見つた桂は、聡の居場所を教える。やがてサキは聡が待つ場所へ。父娘は無事に再会を果たす。
 サキは、聡から本当の打ち明けられる。母が亡くなっていた事を知るが、母の形見であるもう片方のイヤリングを聡から渡され、サキがトリノから持ってきたもう片方と合わせ、離れ離れだった両方のイヤリングが一つに。母が残してくれたプレゼントに「ありがとう」と言うサキ。さらにそこでサキはオリジナルダンスを聡に披露(東京の夜景と音楽、高岡さんの特技を生かしたダンスシーンの映像がしばらく続く)。サキは、「Arrivederci, Tokyo.」と言い残し、東京に別れを告げ、聡と共にイタリアへ帰国する。▼
 トリノに戻ったサキと聡は、再びミレーユとの3人生活に。最後にサキは、翔子の形見のブローチをプレゼントし、胸に付けさせる。 【おわり】 
 〜テロップエンディング曲は『悲しみよこんにちは』(高岡早紀)